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くまつう記事:編集後記(98年9月号)

夜景は美しい。  将軍塚という場所があるのを、皆さんはご存じだろうか。三条通りを東進し、山あいにさしかかるところで北の横道に入る。その後道なりにしばらく進み、T 字路を右に曲がってさらに登ったところで山頂の駐車場に着く。そばには展望台があり、歩みを進めるにしたがって、京都の街が目の前に広がっていく。それ は、北はこぶ状に隣接する岩倉から、南は彼方へと続く名神の橙色灯(ルビ:ナトリウムランプ)の連なりまでを一望する、大都市京都の夜景。

 街灯、室灯、信号、車──眼下に幾千の灯りが瞬(ルビ:またた)き、流れる。その合間を、百万の人が生きている。そして、今それを見下ろしている自分。一対百万。百万の人生。

 この光景を前にしてわき上がる自分の感情は、うまく分析できない。ただ、森や湖といった自然から感じるものとは、異なると思う。夜景は、見た目に は美しいが、その奥からは鈍く重い現実を、見るものに突きつけている気がする。そして、くよくよしてもしょうがない、結局生きるしかない、そんな気がして くる。

 まとまりのない文章と、読者の方は思われるかもしれない。しかし私は、きちんと説明できない漠然としたものを書きたかった。その上での評価は、読者の方におまかせしたい──え?   ぜんぜん編集後記になっていない?