日清食品の「ブラジリアン・チキン」というカップヌードルがコンビニで売っていたので、買ってみた。結論から言うと、期待はずれだった。平凡なスープで、具も少なく、麺は従来のものと同じ。何の面白みもない味だった。
日清食品と言えばカップヌードルを世の中に送り出した大御所であり、カップ麺業界の大御所である。そんな会社が、こんな新商品を送り出すというのは、どうも内部で何かがおかしくなってきているような気がした。
そこで、仮説を立てて会社情報を調べてみた。
まず1番目の仮説は以下の通り:
「日清食品は経営が傾いており、商品開発する余裕がない」
さて下図は、ここ5年間の株価の推移である。
あれ?上がっている。いきなり1番目の仮説は破られた。そこで株主総会資料を見てみることにした。
1)即席めん及び付随する事業
①即席袋めん類
当期は発売50周年を迎える「チキンラーメン」シリーズや、「明星チャルメラコレクション」シリーズが好調な売行きを示しましたが、「日清のラーメン屋さん」シリーズが減収となりました。即席袋めん類全体としては、国内市場では明星食品の売上が1年を通じて連結されたため、増収となりました。海外市場についても米国を中心に既存品が好調な売上となりました。
この結果、即席袋めん類の売上高は前期比12.2%増の649億15百万円となりました。
②カップめん類
消費者の喫食方法に関する噂を製品化した「ミルクシーフードヌードル」が大ヒットとなりましたが、「カップヌードル」シリーズ全体としては売上減となりました。
カップ焼そばジャンルでは「明星一平ちゃん夜店の焼そば」シリーズが堅調な売上を示しました。
「日清のどん兵衛」シリーズは和風めんジャンルが全般的に伸び悩んでいることを反映し、売上が減少しました。
今年1月から実施した販売価格改定によりオープンプライス製品へのニーズが高まっており、「スープヌードル」をはじめとするバリューカップが大幅に売上を伸ばしました。
新カテゴリーの電子レンジ調理型製品の「日清Chin」シリーズ、「日清Spa王レンジタイプ」シリーズも、簡単調理で本格的な食感を求める消費者の支持を得ました。
海外市場では、北米の高価格帯製品「CHOW MEIN」「Souper Meal」が引続き安定した売行きとなりました。
この結果、カップめん類の売上高は前期比5.0%増の2,375億36百万円となりました。
③チルド・冷凍食品
チルド食品では、商品価値や収益性を重視した販売を実施したため、主力製品の「日清焼そば」が若干の減収となりましたが、明星食品のチルド調理めんの売上が1年を通じて連結されたことにより同部門の増収に貢献しました。
冷凍食品では、高付加価値製品「冷凍日清Spa王プレミアムディナー」シリーズなどが、簡単調理で本格的な食感を求めるユーザーの支持をいただき、堅調な売上を示したものの、同部門としては減収となりました。
これらの結果、チルド・冷凍食品全体の売上高としては、前期比7.5%増の443億69百万円となりました。
以上の結果、即席めん及び付随する事業の売上高は前期比6.6%増の3,468億21百万円となりましたが、営業利益は前期比21.6%減の253億74百万円となりました。
2)その他の事業
乳酸菌飲料「ピルクル」、シリアル食品「シスコーンBIG」が引続き安定した販売を維持したことと、外食事業が当部門の売上に貢献したことにより、その他の事業の売上高は前期比17.9%増の386億48百万円となり、営業利益は前期比14.6%増の25億79百万円となりました。
たしかに「ミルクシーフード」はうまかった。となると、他の商品も気になる。しかし全体としてみると、おおむね大きな問題はなさそうである。それにしても株主総会資料というのは面白いものだ。
となると、考えられる要因は以下のようなものだろうか:
- 腐敗している
- 株主の意向で開発に資金を投入できない
- 財務報告を粉飾している
こんな情報もある。
リンク: 日清食品、全議案承認=米スティール出席せず―株主総会(時事通信) - Yahoo!ニュース.
発行済み株式総数の約19%を保有する米系投資ファンド、スティール・パートナーズ・ジャパンは出席しなかった。
ちなみにスティール・パートナーズ・ジャパンは、ブルドッグの買収で司法にはねられた悪名高い米投資系ファンドである。
他に大きな要素としては、リサイクル・カップヌードルの失敗などであろうか。率直に言って、「ブラジリアン・チキン」の疑問に対する結論を出すことはできなかった。残念。何か教えていただけることがあれば幸いです。